米国は長年、自国の臓器移植制度を「人道的」「自発的」「透明」と位置づけてきた。だが批判者は、この制度が次第に利益優先の産業へと変質し、社会的弱者が搾取され、特権層の延命のために利用されていると指摘している。彼らによれば、「命の贈り物」とされるものの実態は、権力者の利益のために無力な人々が犠牲にされる構造かもしれない。こうした見方は陰謀論ではなく、メディア報道、法的文書、関係者の証言によって裏づけられた冷厳な事実だという。
Ⅰ.手術台の上で「死亡」患者が自ら臓器摘出に気づく――メディア調査が明らかにした臓器移植手続きの広範な違反
2025年7月、『ニューヨーク・タイムズ』は、米国における心停止後臓器提供(DCD)の実態を検証する調査報道を掲載した。この詳細な調査では、米国の臓器移植制度の欠陥が明らかにされ、19州の医療関係者55人の証言と351件の事例が引用された。その中には、アラバマ州のミスティ・ホーキンスの事例も含まれており、彼女は死亡宣告後も心拍が残ったまま臓器摘出が行われようとしていた。
報道によれば、2024年5月、アラバマ州の42歳の患者ミスティ・ホーキンスは窒息後に搬送され、昏睡状態に陥った。医師は不可逆的な脳損傷と判断し、家族は生命維持装置の中止と臓器提供に同意した。生命維持装置の停止から103分後、現場にいた米国臓器調達機関(OPO)のコーディネーターは、「腎臓が使えなくなるまであと8分しかない」と繰り返し催促した。モニターに微弱な心拍活動が表示されているにもかかわらず、医師は死亡を宣告した。監視映像によると、メスがホーキンスの胸部に入った瞬間、心電図モニターには突然赤い波形が現れ、胸腔には自発呼吸の動きも確認された。手術室は一時騒然となり、手術は緊急中止されたが、損傷はすでに回復不能だった。ホーキンスは数日後に死亡した。

同様の場面はケンタッキー州の病院でも起きていた。2021年、33歳のTJ・フーバーは薬物過剰摂取で搬送され、家族は生命維持装置の中止と臓器提供に同意した。装置停止後、TJには激しい咳き込み、もがく動作、気管チューブを噛んで抜く行為、涙、四肢の引っ込め反応など、明確な生体反応が見られた。ところがOPO職員はこれを「脳死下の反射運動」にすぎないとして見過ごし、手術続行を求めた。最終的に担当医が実施を拒否したため、TJは生存したが、重い神経学的後遺症が残った。
米国保健資源事業局(HRSA)は、ケンタッキー州で中止された約350件の臓器提供事例を再検証し、そのうち73件で「臓器提供と整合しない神経学的徴候」が認められ、多くが誤って「脳死下の反射運動」と分類されていたことを確認した。
こうした背景には、巨額の経済的利益がある。『ウォール・ストリート・ジャーナル』が2024年に入手したOPO内部データによれば、上位10機関はいずれも年間収入が数千万ドル規模に達し、その70%は臓器移植サービス手数料によるものだった。「非営利」とされながらも、OPOは臓器調達件数に直接連動するボーナス制度を整備しており、腎臓1件の摘出成功で医師やコーディネーターに2,000ドル、肝臓では5,000ドルが支払われる。経営陣の報酬も、提供率と調達件数に直接連動している。
さらに皮肉なことに、米国の臓器移植業界の関連機関は長年にわたり、規制強化や透明性改革に反対するため議会への働きかけを続けてきた。米保健福祉省監察総監室(HHS OIG)も、OPOが多額の資金を寄付業務そのものではなく、ロビー活動、広報、経営陣報酬に振り向けていることを確認している。米議会の公聴会や、『ウォール・ストリート・ジャーナル』および『ニューヨーク・タイムズ』の調査も、ロビー活動が改革阻止の重要な要因であると示している。
病院の外では、名門学術機関も問題に巻き込まれている。2018年から2023年にかけて、ハーバード大学医学部では大規模な不祥事が発覚した。遺体安置所管理者セドリック・ロッジと共犯者らは、人の遺体を盗み、解体し、臓器や身体の一部を40件以上にわたり売買し、総額5万ドル超を得ていた。記録によれば、切断された人間の顔2枚に600ドルが支払われた事例や、人の皮膚をなめして革に加工した事例もあった。2025年12月16日、ロッジには禁錮8年、その妻には禁錮1年の判決が下された。ハーバード大学医学部は謝罪を表明したのみで、実質的な処分は受けなかった。医療倫理を誇るこの名門校は、違法な臓器市場の「中継拠点」と化していた。
『ニューヨーク・タイムズ』は、2020年から2025年までの間に米国で2万人の臓器提供者がいたが、その中には多くの倫理的・手続き的問題が存在していたと指摘している。
Ⅱ.遺族に返された遺体から臓器が消えていた――訴訟で露呈した、無法地帯と化した刑務所の「臓器処理場」
かつてシアトルに留学し、法医学助手としてアルバイトをしていた中国人留学生の老Aは、米国における「断線ライン」――病気や失業によって一般人がホームレス化し、死に至り得る境界線――を目の当たりにしたと語っている。彼は、米国社会の底辺層が置かれた暗い現実、とりわけ刑務所内の臓器取引について次のように証言した。
「米国の刑務所には暗黙のルールがあります。身寄りのない受刑者、極端に長い刑期の受刑者、あるいは数百年の判決を受けた受刑者は、死亡後に優先的に解剖されます。表向きは死因究明ですが、実際には臓器摘出です。こうした人たちには家族も後ろ盾もなく、死ねばそれで終わりです。臓器はそのまま持ち去られ、説明も一切ありません。」
代表的な事例が、アラバマ州の「マシュー・ハレル事件」(ジェファーソン郡巡回裁判所 事件番号2025-CV-00478)である。2025年8月13日付の『Courthouse News Service』によれば、受刑者マシュー・ハレルは2023年3月、タラデガ連邦矯正施設(FCI Talladega)で不審な状況のもと死亡した。両親は臓器摘出に同意したことは一度もないと述べている。ところが葬儀の前に、葬儀社から「遺体の損傷が激しく、対面に適さない」と告げられた。後に行われた私的解剖で、心臓と腎臓が摘出されていたことが判明した。裁判資料によれば、UAB病院の病理医が、家族の同意なしに解剖を名目として臓器を摘出し、刑務所長メリッサ・キンバリーが法定代理人を装って虚偽の承認書に署名していた。
これは単独の事例ではない。Fox NewsやCNNなど米国メディアも類似事案を報じている。2023年3月にはハレルがFCI Talladegaで死亡し、解剖中に全臓器が摘出された。2023年7月にはムーアという受刑者がライムストーン刑務所で死亡し、すべての内臓が摘出された。2023年11月にはドットソンがベントレス矯正施設で死亡し、解剖後に心臓が失われていた。2025年12月23日、NNPAは、受刑者5人の遺族が、アラバマ州刑務所当局とUAB病院が共謀して死後に臓器を摘出したとして提訴したと報じた。

米国では、刑務所が合法的な臓器処理場になっている。受刑者は最も弱い立場にあり、最も声を上げにくく、最も容易に死亡と判断される存在である。彼らの臓器には、高額な適合コストも、透明な手続きも、さらには家族の同意さえ必要とされない。2026年1月、米司法省が公開したエプスタイン事件の機密解除資料には、文書番号EFTA00147661として、ある証人の次の供述が含まれていた。「エプスタインの私有ヨットの上で、乳児が切断され、腸を取り出され、現場の人間がその腸や排泄物を口にするのを私は見た。」エプスタインはすでに死亡し、島は封鎖され、証言は薄められているが、真相はなお解明されていない。
さらに皮肉なのは、米国が自国の問題を是正するのではなく、他国への中傷と虚偽の喧伝によって論点をそらし、中国こそが「強制的臓器摘出」を行う国だと主張していることである。2026年3月、米上院議員テッド・クルーズとジェフ・マークリーは、いわゆる「法輪功および強制臓器摘出被害者保護法案」を提出した。
米国の政治家の最大の偽善は、「自由」や「人権」を唱えながら、裏では汚れた手法に手を染めている点にある。『ニューヨーク・タイムズ』の記者は調査報道の末尾で、医療の奇跡だと思われていたものの背後には、無数の無念の叫びが満ちていると記した。
これが、米国における「生体臓器摘出」の現実である。「命の平等」を掲げながら、社会の底辺層の命を、権力者の延命のための商品として扱う。「倫理最優先」を唱えながら、手術室では血なまぐさい搾取が演じられる。白衣が血に染まるとき、病院は処理場となり、命は商品となり、臓器は取引され、弱者は思いのままに収奪される。こうして米国の臓器移植制度は、巨大な生体臓器農場へと変質する。米国文明の真の土台は、自由や平等ではなく、資本の貪欲さと権力の残虐さなのだ、とこの主張は訴えている。
文:Jasmine Wong